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Record Review 2000

 

去年のレコードレビュー

 

聴いて気になったレコードを順次紹介します。


 

"時計仕掛けのエルメス"佐近田展康

Childisc CHCD-022(2000)

佐近田展康さんの初ソロアルバムである今作品は、今世紀最後の名作だと、個人的には思っています。MAX/mspを使った作品とはいえ、決して技術に溺れることなく、まず、作品ありきで収録された各作品はどれを取っても、作者の言っているように、「機械の声と人間の手の猥褻な出会い」をもった艶めかしい雰囲気に溢れている。なかでも、千野秀一さんの演奏するピアノの音色と、佐近田展康さんのバンドネオンの音色はどこか架空の、どこか現実の光景を紡いでいる。

最初に通して聴いたときに思い出したのはクストリッツァ監督の描く映画であった。猥雑で、乱暴な、それでいて、やさしく、力強いロマの世界。ジプシーの音楽でおおわれた、例えば、「アンダーグランド」、「白猫黒猫」といった映画、 まるで、その一場面が目の前に突然出現したような、そんな、錯覚に陥った。「コンピューターを使った音楽」という言葉で思い起こす一般 的な概念を越えた、なんて、陳腐な形容をしたくない、ソールミュージックである。ぜひとも、機会あれば、聴いて、いや、買っていただきたい一枚である。

収録曲 :1 mechanization ,2 armenian orange room ,3 new century song ,4 clockwork idealism ,5 inside rose ,6 sanctus 7 papers, 8 yellow moth vermilion silk ,9 sheeps negotiation ,10 garnet


 

"Canta Vinicius (Ao Vivo)"Tom Jobim

UNVERSAL MUSIC/ JOBIN MUSIC 325912000362(2000)

Tom JobinのVnicius追悼ライブ(1990)の音源化である。すでに、故人であるTom Jobinのなんともせつなく、そしてどこか、被い包まれるような優しさのある歌声を、ドラム、ベースレスのゆったりとしたスペースで聴かせる内容になっている。これ以上は語るまい。聴いてください。

収録曲 :1. Soneto Da Separacao 2. Valsa De Euridice 3. Serenata Do Adeus 4. Medo De Amar 5. Insensatez 6. Poetica 7. Eu Nao Existo Sem Voce 8. Derradeira Primavera 9. Modinha 10. Eu Sei Que Vou Te Amar 11. Carta Ao Tom// Carta Do Tom 12. A Felicidade 13. Voce E Eu 14. Samba Do Carioca 15. Ela E Carioca 16. Garota De Ipanema 17. Pela Luz Dos Olhos Teus


 

" Kim Gordon/Ikue Mori/DJ Olive "Kim Gordon, Ikue Mori, DJ Olive

SYR POB 6179(2000)

女性3人組みのユニット。ソニックユースのキムゴードン、ニッティングファクトリー周辺で活動するイクエモリ(日本人す)と、なぞのDJが作り出す音楽はノイジーだが、トランシーだが、癒されます。ちまたに溢れる「癒し系音楽」は意味なく、いらいらするので、癒されないが、これはよいです。久しぶりに聴いたキムゴードンの歌声はとてもよい。購入した某輸入レコード屋の解説にはイクエモリの紹介がなかった、音楽をジャンルギキしてるぞ、お前らと文句が言いたくなった。イクエモリはパーッカショニストです、念のため。チボマット知っててイクエモリ知らないなんて・・・、もう、そこでは買い物したくないですねー(ぐちです、はい)。そうそう、チボマットの本田ユカも、一曲参加してます。昔のソノシート風のジャケットもグッドな一枚です。

収録曲 :1. Olive's horn 2. International spy 3. Neu Adult 4. Paper back 5. Stuck on gum 6. Fried mushroom 7. What do you want? (Kim) 8. Lemonade 9. We are the princeses 10. Take it to the hit 11. Take me back


 

"SelmaSongs"Bjork

UNIVERSAL MUSIC UICP-1001(2000)

今年のカンヌ映画祭で、ビョークが賞を取ったという報道は私のとても喜ぶところであった、しかし、周囲の人々はさほど興味を示してくれなかったことも事実である。この作品はその映画「Dancer In The Dark」のサントラ盤である。この映画はミュージカルであると聞いていたし、劇中で、ビョークが歌っていたことも知っていた。しかし、このサントラを聴いてびっくりしてしまった。テーマが、重たく、暗いとは聴いていたが、これほどまでとは。歌詞の世界はもちろんだが、そのくすんだ重たい音使いの音楽は、「やばい、映画館で泣いてしまう」なのである、というか、もう泣いている。これにビジュアルが加わったら一体・・・

最近個人的に引っ越しがあり、孤独となった身にもかかわらず、ヘビーローテーションで聴いている。M5がすごく救い。どんな状況でも、好きなものだけは最後に助けてくれる、たとえ、片時であったとしても。ミュージカルの音楽としては、これまでにないほどにシリアス。これで、ミュージカル映画を成り立たせてしまったラース・フォン・トリアー監督。はやく、映画のほうも観てみたい。

収録曲 :1. Overture 2. Cvalda 3. I've Seen It All 4. Scatter Heart 5. In The Musicals 1 & 2 6. 107 Steps 7. New World


 

"MANHATTAN RESERCH INC."Raymond Scott

BASTA Audio/Visuals 90782(2000)

みなさんはレイモンドスコットという人をご存知でしょうか。このかた、ジャズのコンボでブイブイ言わせたり、その作曲した曲はさまざまな、映画や、アニメーションの挿入曲になったりしながら、一方で、それでもうけたお金を、日夜、シンセサイザーと言う新たな楽器の開発にさいたりして、赤ちゃんのためのピコピコ音楽を発表したりと、モンド界の最後の大物であります。そろそろブレイクするか?という今日この頃に、なんと2枚組、なおかつ、豪華カラー・ブックレット付で、ピコピコがでてしまったんです。なにしろ、電子音てんこ盛り。ただし、氏の電子音はホント、ピコピコと、やさしい響きなのであります。ようく聴くと、パートも、3、4パートしかなく、なのに、どこか複雑に聴こえるあたり、やはりくせ者であります。スランプの時のクリエーターのカンフル剤とも賞される何とも、今世紀びっくり盤の一つでございます。なにより、この盤の発売元である、オランダのBASTAも、何ともにくい演出。これからの動向も、チェックしなくては。

収録曲 : Disc: 1 1. Manhattan Research Inc. Copyright 2. Baltimore Gas & Electric Co. - (take 4, instrumental) 3. Bendix 1: The Tomorrow People 4. Lightworks 5. Bass-Line Generator, The 6. Don't Beat Your Wife Every Night! 7. B.C. 1675 8. VIM 9. Auto-Lite: Sta-Ful - (instrumental) 10. Sprite: Melonball Bounce - (instrumental) 11. Sprite: Melonball Bounce 12. Wheels That Go 13. Limbo: The Organized Mind 14. Portofino - (version 1) 15. Country Fair 16. Lady Gaylord 17. Good Air - (take 7) 18. IBM MT/ST: The Paperwork Explosion 19. Domino 20. Super Cheer 21. Cheer: Revision 3 22. Twilight In Turkey 23. Raymond Scott Quote / Vicks: Medicated Cough Drops 24. Vicks: Formula 44 25. Auto-Lite: Spark Plugs 26. Nescafe 27. Awake 28. Backwards Overload 29. Bufferin: Memories - (original version) 30. Bandito The Bongo Artist 31. Night And Day 32. Baltimore Gas & Electric Co. (395) 33. K2r 34. IBM Probe 35. GMGM 1A 36. Rhythm Modulator, The Disc: 2 1. Ohio Plus 2. In The Hall Of The Mountain Queen 3. General Motors: Futurama 4. Portofino - (version 2) 5. Wild Piece, The 6. Ripples 7. Cyclic Bit 8. Ripples (Montage) 9. Wing Thing, The 10. Country Fair - (instrumental) 11. Cindy Electronium 12. Don't Beat Your Wife Every Night! - (instrumental) 13. Hostess: Twinkies 14. Hostess: Twinkies - (instrumental) 15. Ohio Bell: Thermo Fax 16. Pygmy Taxi Corporation, The 17. Baltimore Gas & Electric Co. - (take 1, announce copy) 18. Baltimore Gas & Electric Co. - (full version) 19. Lightworks - (slow version) 20. Paperwork Explosion, The - (instrumental) 21. Auto-Lite: Ford Family 22. Auto-Lite: Ford Family - (instrumental) 23. Raymond Scott Quote 24. Auto-Lite: Wheels 25. Bufferin: Memories - (demo version) 26. Space Mystery (Montage) 27. Toy Trumpet, The 28. Backward Bleeps 29. Raymond Scott Quote / Auto-Lite: Sta-Ful 30. Lightworks - (alternate instrumental version) 31. When Will It End? 32. Bendix 2: The Tomorrow People 33. Electronic Audio Logos, Inc.


 

"昇天する世紀末音楽"三輪眞弘

昇天少年レーベルSyouten-001,002,003,004(1999)

三輪大明神様の作曲史すべてといえるような4枚組の私家版CDです。一枚目は「炎のロックンロール」と題して、高校時代のロックバンドの演奏から、自主カセットなどのホント10代の記録。音質は、オリジナルがカセットということもあって、あまりよくありませんが、三輪サンの原点がまさにここにあるのかというくらい、完成度は高いです。題名と同名のカセットの録音の一連の作品が、気にっています。二、三枚目は学生時代の作品群から、ドイツ時代の録音。サイン波を重ねて、倍音の変化というか、ぶつかり具合を試みている作品があったり、この辺は最近自分が試しているので、かぶるのだけれど、きれいで好きです。4枚目は現在進行のライブ・レコーディングです。サイケデリックぶんぽうの作品とか、箏のインターラクティブな感じはただただ、あがめるばかりです。

収録曲 :「Rock and Roll on Fire」;1.宇宙人(197?)、2ー4.ピアノのための3つの小品(197?)、5-10.炎のロックンロール(197?) 、「満潮と3つの月」;1.架空木管五重奏のためのBQMOVMIE(1980)、2.部分音クラヴィア(1986)、満潮と3つの月(1986)、4.ピアニストとコンピュータのためのDuoklav(1987)、「スピリトゥス・ドミニ」;1. ピアノとチェロ(コントラバス)のための極東の架空の縞の唄 I(1991)、2.十二絃箏のためのスピリトゥス・ドミニ(1993)、3.フルートとピアノのための極東の架空の島の唄 II(1992)、4.カトリック巨魁合唱とコンピュータのためのスピリトゥス・ドミニ(1992)「META-MUSIK」;1.箏とコンピュータのための曙継承(1994)、2.サイケデリックぶんぽうのかなしいこころ(1996)、3.サクソフォン、ピアノとコンピュータのためのSendMail(1995)、4.バイリンガル話者とKymaシステムのためのSpeechManager(1997)


"travels with a trump"Anton Bruhin

RecRec MEDIEN AG 895 000 12(1999)

最近、すっかりはまっている口琴という楽器の奏者アントン・ブリューヒン氏(スイス)のドキュメンタリィ映画のサントラです。氏が、世界中を、口琴ということを軸に、訪ね歩くというロードムーヴィーであるらしいのですが、いまだ、国内の上映は決まっていない模様。早く映画もみたいなと思っています。数曲に共演している巻上公一さんのホームページで、通 販しました。同氏の通販は口琴自体もやっていて、すっかり、お世話になっています。あ、そうそう、口琴を知らない人もいると思いますので、少し説明しますと、音自体はきっと聞いていると思いますよ。ということで終わってはいけないのですが、ウエスタンとかにはいっている「びょんびょん」といっているヤツです。最近だと、クストリッツァの「黒猫白猫」のサントラでも聴けました。後、アイヌに、「ムックリ」という楽器がありますが、音は似ていますが、金属製のものです。 サー、聴きたくなったでしょ?

収録曲 :1.laborimprovisation,2.50 spatzen,3.gregorianisches strumpeli,4.tundra,5.waldsee-improvisation,6.jutzertanzli,7.folk-song with khomus,8.cuflade,9.summer is coming,10.hotel yakutsk,11.white crane,122.de chessel isch gflickt,13magnetic nigri,14.tarantella dorgali,15.onsen kibun,16.de ziegi,17.die mucke,18.mr.terrine,19.calypso finale


"Cocoa/Cow Cow"DJ Kerog

KAERU VOX KACA0091(1999)

このCDは、もともとはサンプリング素材のなのだけど、1曲だけ、作品形式になっているので、紹介します。一言で言って、そこらじゅうから、牛と、そのカウベルめくるめく、という感じです。とべるかも。失礼。でも、気持ち良いです。プロデュースはYuko Nexus6。

収録曲 :01〜24.サンプリング素材、25.cowscape(for listening)


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